俗に「もうちょう」と言われますが、盲腸は右下腹部にある大腸の一部で、その先端に紐のように付着しているのが虫垂です。
虫垂炎はこの虫垂の炎症です。
虫垂の中で便が固まって糞石を作ったり、疲労、暴飲暴食などにより腸内細菌が異常繁殖を起こして炎症が起こります。初期は軽い粘膜の炎症から始まり、炎症が進むと、虫垂周囲に膿瘍を形成したり、虫垂が壊死・穿孔して腹膜炎を起こすこともあります。腹膜炎を起こすと命に関わることがあります。
虫垂炎は突然に発症することが多いため、具体的な予防法などは確認されていません。
腹痛(特に胃の真ん中から右下腹部に移動する痛み)や発熱、下痢、嘔吐などがあります。
腹部診察、血液検査、腹部超音波検査、腹部CT検査などで診断がつきます。しかし、大腸憩室炎(大腸の壁の小さな袋の炎症)や卵巣や卵管の炎症(附属器炎といいます)などと区別するのが難しい場合もあります。
虫垂炎の治療は抗生剤治療と手術の2つに分かれます。
炎症が軽度かつ成人であれば、抗生剤治療だけで治癒が可能ですが、治癒後1年以内に再発する方が2~4割と言われております。
中等度から高度の炎症の場合、腹膜炎に至るリスクが高いため、手術治療が第一選択となります。
手術は入院していただき、虫垂切除術を全身麻酔にて行います。状態に応じて緊急に手術を行うことがあります。
手術方法は開腹手術と腹腔鏡を使った手術があります。
手術方法の選択は炎症の程度や合併症の程度、患者様の背景を考慮し、決定させていただきます。昨今、腹腔鏡の手術による小さい傷が注目されておりますが、虫垂炎の手術に関しては開腹手術の方が傷が小さくなる場合があります。
炎症の程度によりますが術後の入院期間は約3~7日程度です。