病院の取り組み

2022年度 笹生病院 勤務医負担軽減計画

I. 医師・看護師・薬剤師・検査技師・医療クラーク・医療事務・連携スタッフ等の業務役割分担の明確化(継続計画)

1.看護師

  1. 医師の指示に基づき、注射・処置等代行が可能な診療行為を積極的に実施する。
  2. 救急医療等における診療の優先順位について可能な限り判定を行い、医師が診療に専念できる体制を整備する。
  3. 医師が患者に治療方針や症状の説明を行う場合は、患者やその家族に補足的な説明を行い、医師と患者とのコミュニケーションが円滑に図れるよう協力する。

2.薬剤師

  1. 病棟への薬剤の払出しは点滴、注射等を患者単位で準備し、病棟医師の負担の軽減を図る。
  2. 薬剤を電子カルテ上で迅速に閲覧できるようマスターデータを適切に管理する。
  3. 外来化学療法及びすべての病棟で使用する抗癌剤の調剤を行い、医師の負担の軽減を図る。
  4. 院内処方体制を維持し、病棟での服薬指導、持参薬管理や病棟常備薬の薬剤管理を担うことにより、医師の負担の軽減を図る。

3.臨床検査技師

  1. 医師の依頼に基づき、心臓超音波検査等を実施する。
  2. 検査に関する問い合わせについて、可能な限りの説明を行う。

4.診療放射線技師

  1. 医師の指示に基づき、エコー検査、放射線検査、CT・MRI検査等を実施する。
  2. エコーガイド下生検で位置合わせ等を行い、医師を介助する。
  3. 検査に関する問い合わせについて、可能な限りの説明を行う。

5.臨床工学士

  1. 血液浄化業務に対応し、機器操作及び回路内血液凝固防止等の対処を行い、医師の負担軽減を図る。
  2. アンギオ機器の準備等を迅速に行い、医師の負担軽減を図る。

6.事務職員

  1. 入院の説明、検査手順の説明等、代行が可能な医師業務を積極的に行う。
  2. 患者・家族へのインフォームド・コンセントに積極的に係わり、退院支援や療養相談等、医師との情報共有が正確かつ速やかに行えるよう努める。
  3. 医師が、患者・家族の状況を理解した上で治療に専念できるよう、相談支援や関係機関との情報共有や連携を行い、療養環境や診療行動が維持できるように努める。

II. 医師事務作業補助者への事務的作業の分担(継続計画)

1.補助体制

  1. 医療事務作業補助者を有効に配置し、医師の負担の軽減を図る。
  2. 医師の業務を円滑に補助できるよう、電子カルテ操作など必要な研修を行う。

2.業務内容

別に定める「医師事務作業補助者業務規程」に基づき、診断書等の文書作成やカルテ記載、各種オーダーなど電子カルテへのデータ入力について補助業務を行う。

III. 短時間雇用の非常勤医師の活用

医師不足となっている診療科については、非常勤医師を活用し、医師の負担を軽減する。

IV. 地域の他の医療機関との連携体制

大腿骨、脳卒中、5大がん、緩和ケア等のクリニカルパスの推進や紹介患者専用枠を設け高度医療が必要な患者を積極的に受け入れるなど地域連携体制をより充実させ、当院が本来受け入れるべき重篤な患者の診療に医師が専念できる体制を整備する。

V. 外来交替制勤務制の導入

二次救急医療体制を維持しながら診療にあたっているため、各診療科における各医師の日勤の診療体制等を考慮し、外来診療に関して交替制勤務体制を取る。また、当直体制の維持のため、不足する場合は非常勤医師を活用する。

VI. 当直体制への配慮

当直体制に参加する診療科においては、日勤の診療日程に配慮し、交代勤務計画を作成する。なお、手術のある診療科においては、予定手術日についても配慮する。

VII. 外来縮小の取り組み

地域の他の医療機関との連携を強化することで紹介率及び逆紹介率の向上を図る。

VIII. 子育て中の医師への配慮

  1. 出産後、職場へのスムーズな復帰を促すため、院内託児所による保育を実施する。
  2. 子育て中の医師の負担軽減として、育児短時間勤務を導入する。
  3. 院内に設置した保育所を適切に管理・運営し、育児を抱える医師の就業を支援する。

IX. 職員満足度調査の実施

当院の長所、短所、職員の意欲を可視化することにより、問題点を明らかにし、運営を改善していく。

X. その他

  1. 医師の増員に向け、継続的に医師確保に努める。
  2. 警備会社と契約し、24時間 院内暴力から医師を守る体制を整備する。
  3. 常勤医師が加入する賠償保険掛金の助成や医療事故等に迅速に対応するための顧問弁護士の活用など、医療リスクに対する支援体制を充実する。
  4. IT化を推進し、医師の業務の効率化、合理化を図る。

XI. 役割分担推進のための委員会

  1. 役割分担推進のための委員会は「勤務環境改善委員会」とする。
  2. 当計画の実施状況等について、年1回以上委員会に報告し審議を行う。
  3. 参加職種は次のとおりとする。
    医師、看護師、診療技術部職員、事務職員

XII. 計画達成の目標年度

2022年度(令和4年度)

2022/04/01
医療法人社団 清和会
診療環境改善委員会

看護職員の負担の軽減

看護職員の負担の軽減及び処遇の改善に資する具体的な取組内容

I. 業務量の調整

  1. 時間外労働が発生しないような業務量の調整を行う。

II. 看護職員と他の職員との業務分担

  1. 各部署に看護補助者およびクラークを配置し、看護職員の業務負担軽減を行う。
  2. 薬剤師・リハビリスタッフ・臨床検査技師・管理栄養士と協働し、看護職員の業務負担軽減を行う。

III. 短時間正規職員の活用

  1. 短時間正規職員を活用する。

IV. 妊娠・子育て・介護中の看護職員に対する配慮

  1. 夜勤の減免
  2. 半日・時間単位有休休暇制度
  3. 子の介護休暇・介護休暇制度
  4. 育児休暇の延長
  5. 所定労働時間の短縮
  6. 24時間院内託児所の設置

V. 夜間における看護業務の負担軽減に資する業務管理

  1. 12時間夜勤の導入
  2. 11時間以上の勤務間隔の確保
  3. 夜勤の連続回数が2連続まで
  4. 夜勤専従看護師の活用

VI. その他

  1. 看護師の増員に向け、継続的に看護師確保に努める。
  2. 警備会社と契約し、24時間 院内暴力から看護師等を守る体制を整備する。
  3. IT化を推進し、看護師の業務の効率化、合理化を図る。

一般事業主行動計画

次世代育成支援対策推進法

計画期間

2021年12月1日~2024年11月30日

1. 雇用環境の整備に関する事項

(1)妊娠中の労働者及び子育てを行う労働者等の職業生活と家庭生活との両立等を支援するための雇用環境の整備

  • (ア)妊娠中や出産後の女性労働者の健康の確保について、労働者に対する制度の周知や情報提供及び相談体制の整備の実施
  • (イ)労働者が子供の看護のための休暇について、時間単位で取得できる等、より利用しやすい制度の導入
  • (ウ)出産や子育てによる退職者についての再雇用制度の実施

(2)働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備
短時間正社員制度の導入・定着

2.1. 以外の次世代育成支援対策推進法に関する事項

若年者に対するインターンシップ等の就業体験機会の提供、トライアル雇用等を通じた雇入れ、適正な募集・採用機会の確保その他の雇用管理の改善又は職業訓練の推進

女性活躍推進法に基づく行動計画

計画期間

2021年4月1日~2024年3月31日(3年計画)

1. 数値目標

  1. 2021年度から2023年度の各年度において、男性育児休暇取得者を各年度1名以上の確保
  2. 2021年度から2023年度の各年度において、全職員向けの両立支援制度の研修を各年度1回以上実施

2. 取り組み内容

  • 2021年4月~ 両立支援制度の整理と広報用リーフレット作成
  • 2021年10月~ 男性育児休暇の制度整理及び広報
  • 2022年1月~ 両立支援制度研修企画・実施

未承認医薬品の使用に関する情報公開

医薬品及び医療機器は、法律(医薬品医療機器等法)に基づいて厚生労働省で承認された方法で使用することが求められます。しかし、治療の必要上、承認内容とは必ずしも一致しない方法で使用すること(適応外使用等と言います)もあります。その場合は、病院内の会議(薬事審議会)で、使用の必要性があるか、有効性・安全性等の面から問題がないか等を審議し、承認した上で使用することとしています。
 上記により承認の上、適応外使用等を行う場合、通常は、医療者が文書又は口頭で説明し、患者さんの同意を得ます。しかし、科学的に相当の根拠があり、倫理的な問題が極めて少なく、患者さんに有益であると考えられる使用の際は、文書又は口頭による説明・同意取得を例外的に簡略化することを、病院内の会議で承認しています。未承認新規医薬品等に関する情報を公開することで、患者さんに拒否の機会を保障しています。  個々の承認内容について詳しくお知りになりたい場合や拒否されたい場合は、当院薬剤部までお知らせください。

高濃度注射用カリウム製剤

実施内容
高濃度注射用カリウム製剤の投与
対象患者
当院で治療を受ける患者さんで、低カリウム血症を呈した患者さん
承認日
2025年1月16日
実施期間
承認後から永続的に使用
目的・概要
低カリウム血症に対する治療は通常内服薬でカリウムの補充を行いますが、重症の場合や内服困難な場合は注射剤を使用します。注射用カリウム製剤は、添付文書において、40mEq/L 以下に希釈して使用することとされています。しかし、高度の水分制限が必要な場合や速やかな補正が必要な場合などでは高濃度で使用する場合があります。当院では、救急初療室、ICU、手術室、透析室で使用する場合、並びに循環器科で入院中の患者様に対しては、添付文書に記載されているよりも高い濃度で投与する場合があります。
予想される不利益と対策
カリウム補充により、予想より血清カリウム値が上昇することがあります。その場合、不整脈や心不全をきたす恐れがありますが、異常が確認された場合は速やかに減量または中止を検討します。低カリウム血症が改善され次第、高濃度注射用カリウム製剤の使用は終了し、添付文書で定められた使用法へ移行します。 なお、高濃度で使用する場合は、以下の事項を遵守すると定めています。
  • モニター監視、頻回のK値の検査等、厳格な管理を行うこと
  • 中心静脈から投与すること(透析を除く)
  • 輸液ポンプもしくはシリンジポンプを用いて投与すること
  • 投与速度は20mEq/時以下、1日最大投与量は100mEqまでと、添付文書で定められた範囲内とすること

画像・内視鏡検査における鎮静剤の使用(成人)

実施内容
画像検査・内視鏡検査における鎮静剤の使用(成人)
対象患者
当院で画像検査を受ける患者さんで、ミダゾラム・サイレースによる鎮静が必要な患者
承認日
2025年1月16日
実施期間
承認後から永続的に使用(もしくは保険承認されるまで)
目的・概要
CT/MRI などの画像検査や内視鏡による検査を行う際に、安静に検査を受けることができない患者さんに対してミダゾラム・サイレースを用いた鎮静を実施する場合があります。 適切かつ安全な鎮静のために、実施前から実施後まで厳重な評価やモニタリングを行います。
予想される不利益と対策
鎮静に伴う有害事象として覚醒遅延、呼吸抑制、低酸素血症、血圧低下、アレルギーや転倒を認める頻度が多くなる場合がありますが、適切な観察を行うことで早期に発見し適切に対応します。本剤施用に伴う有害事象などの健康被害が生じた場合は、適切な診療と治療を行います。

せん妄に対する薬物療法におけるクエチアピン、リスペリドン、ハロペリドール、の適応外使用

実施内容
せん妄に対する薬物療法におけるクエチアピン、リスペリドン、ハロペリドール、の適応外使用
対象患者
当院でクエチアピン、リスペリドン、ハロペリドール、によるせん妄治療が必要な患者
承認日
2025年1月16日
実施期間
承認後から永続的に使用(もしくは保険承認されるまで)
目的・概要
せん妄は、原疾患に身体的・環境的な負荷が加わり、一時的な意識障害や認知機能の低下が引き起こされた状態です。その頻度は高く、環境調整や薬物療法により対処します。薬物療法としては適応外使用ではあるものの抗精神病薬を中心に行います。厚労省 保医発 0928 第 1 号 23.9.28 付通知より、 器質的疾患に伴うせん妄・精神運動興奮状態・易怒性せん妄に対する処方としてハロペリドール、クエチアピン、が記載され、社会的にも認知されていますが、その使用は適応外使用にあたります。
予想される不利益と対策
各薬剤の添付文書に記載された用法用量に準じて治療を行うため、一般的に想定される副作用と同等と考えられます。本剤施用に伴う有害事象などの健康被害が生じた場合は、適切な診療と治療を行います。