胃がんは胃の粘膜から発生する悪性腫瘍です。粘膜で発生してから、だんだんと大きく、そして深く成長していき、やがて胃の外にまで至ります。
がんは、成長していくと血管やリンパ管の中を流れて、リンパ節や胃から離れた部分にある臓器に転移したり、周辺の臓器などに直接浸潤します。
そして、患者様の命を奪うまでにいたることがあります。
以上より、がんはできる限り早い段階で治療することが大切です。
胃がんの進行具合(臨床ステージ分類)は次の通りです。
M0 | M1 | ||
---|---|---|---|
N0 | N+ | Any N | |
T1a(M,SM)T2(MP) | I | IIA | IV B |
T3(SS)T4a(SE) | IIB | III | |
T4b(SI) | IV A |
〈参考文献〉胃がん取り扱い規約第15版 2017を簡略化
胃がんには、いくつかの原因があることが知られています。原因として最も多いとされているのはヘリコバクターピロリ菌(以下、ピロリ菌)によるもので、日本人の中高年者は5〜7割がピロリ菌に感染していると言われています。また、ピロリ菌とは関連のない原因不明の「スキルス胃がん」も近年多く報告されてきております。
ピロリ菌が発見されれば、内視鏡で確認したのちにピロリ菌の除菌治療(内服薬治療)を行うことで、胃がん発生のリスクを減らすことができます。様々な検査でピロリ菌の存在を判定できますが、除菌治療前には内視鏡で胃の中を確認することが必須になります。
胃がんは、進行度を表すステージによって治療法が大きく異なります。ステージに関しては以下の通りです。
治療法は、標準治療に基づいて、患者さんの体の状態や年齢、希望なども含めて検討し、担当医と共に決めていきます。
早期胃がんでは、胃を小さく切除せずに、胃の表層だけを剥離する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が可能な段階があります。
ESDは手術と比べると、体に対する負担が少なく、また、がんの切除後も胃が残るため、食生活に対する影響が少ない方法です。合併症として、出血や穿孔(せんこう:穴が開く)が起こることがあります。
内視鏡治療でがんが確実に取りきれたかどうかは、病理診断(顕微鏡レベルでの診断)で確認します。リンパ節への転移の可能性も考えながら、次の治療が必要かを検討します。がんが確実に取りきれてリンパ節転移の可能性が極めて低い場合には、そのまま経過を観察します。がんが内視鏡治療では取りきれなかった、あるいは取りきれているが、深さが粘膜下層まで達しているなどの理由でリンパ節転移の可能性がある場合は、後日、追加で手術治療をお勧めすることとなります。
〈参考文献〉胃癌治療ガイドライン 第5版 2018を簡略化
内視鏡を使って、胃や大腸の中だけで手術を行います。
癌を粘膜ごと切り取って、除去する方法です。
この方法では、胃や大腸の粘膜または粘膜下層だけを切り取るので、一般的な外科手術の様に、胃や大腸の一部を無くす必要がありません。
切除の方法には、
があります。
病変の大きさや部位、悪性度、潰瘍などがあるかにより治療方法を選びます。近年は、治療の適応の拡大や技術的な進歩により、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が普及しています。
大腸がんは大腸の粘膜から発生して、だんだん深くにある層を浸潤するように成長し、やがて大腸の外にまで至ります。
がんは成長途中で、血管やリンパ管の中を流れて、リンパ節や胃から離れた部分にある臓器に転移したり、周辺の臓器などに直接浸潤します。
そして、患者様の命を奪うまでにいたることがあります。
以上より、がんはできる限り早い段階で治療することが大切です。
大腸がんの進行具合(ステージ分類)は次の通りです。
M0 | M1 | ||
---|---|---|---|
N0 | N+ | ||
Tis | 0 | IV | |
T1a(M,SM)T2(MP) | I | III | |
T3(SS)4a(SE)4b(SI) | II |
〈参考文献〉大腸がん取り扱い規約第9版 2018を簡略化)
大腸がんが早期の段階では患者様が症状を自覚されることはほとんどなく、進行すると症状が出ることが多くなります。自覚する症状としては、血便(便に血が混じる)、下血(赤または赤黒い便が出る、便の表面に血液が付着する)、下痢、便秘、便が細い、便が残る、おなかが張る、腹痛、貧血、体重減少などがあります。
血便、下血や痔などでも起こりますが、痔だと思い込んでそのまま放置してしまうと、がんが進行して発見されることがあります。
がんが進行すると、上記のように慢性的な出血による貧血や、腸が狭くなることによる便秘や下痢、おなかが張るなどの症状が出ることがあります。さらに進行すると腸閉塞となり、便は出なくなり、腹痛、嘔吐などの症状が出ます。大腸がんの転移が、肺や肝臓の腫瘤として先に発見されることもあります。
大腸がんの発生は諸説ありますが、アメリカの研究機関においては食生活(肉類)が関連しているとの報告もあります。また、喫煙、飲酒により大腸がんの発生する危険性が高まるといわれています。また、家族の病歴との関わりもあるとされています。特に家族性大腸腺腫症やリンチ症候群などの遺伝性疾患では、近親者に大腸がんの発生が多くみられます。
大腸がんは、進行度を表すステージによって治療法が大きく異なります。ステージに関しては以下の通りです。
〈参考文献〉大腸がん治療ガイドライン 2019を簡略化)
内科ではStageⅠAの患者様に対して、内視鏡的治療を行います。
内視鏡治療では手術と比べると、体に対する負担が少ない方法です。手術のように全身麻酔を必要としません。また、腸が短くなることもありません。
合併症として、出血や穿孔(せんこう:穴が開く)が起こることがあります。
内視鏡治療でがんが確実に取りきれたかどうかは、病理診断(顕微鏡レベルでの診断)で確認します。リンパ節への転移の可能性も考えながら、次の治療が必要かを検討します。がんが確実に取りきれてリンパ節転移の可能性が極めて低い場合には、そのまま経過を観察します。がんが内視鏡治療では取りきれなかった、あるいは取りきれているが、深さが粘膜下層まで達しているなどの理由でリンパ節転移の可能性がある場合は、後日、追加で手術治療をお勧めすることとなります。
ステージⅣの患者様で手術ができないほど進行している場合、抗がん剤治療や放射線治療などが主に行われます。しかし、大腸がんによって腸閉塞となり、食事が取れなかったり、貧血がひどくなってしまっている場合にはがんを治す目的ではなく、症状を軽くするための姑息的な手術を行うことがあります。